目次
今回は女性性と関係の深い
小惑星についてお話しします。
西洋占星術での小惑星とは
西洋占星術において
小惑星といえば以下の
4大小惑星が有名です。
ケレス、パラス、ジュノー、ヴェスタ
天文学的には取り上げると
キリがないほど小惑星は
存在しますが占星術では
主にこの4つを
小惑星として扱います。
占星術において小惑星は
1970年代後半から
使用されることになった
非常に新しい概念です。
1973年にエレノア・バックが
小惑星の運行表を含めた天体暦を
著書で紹介したことにより広まりました。
同時に小惑星と神話との結びつきも
導入されます。
小惑星として最初に発見されたケレス。
以下、次々と発見が続きます。
ケレス 1801年
パラス 1802年
ジュノー 1804年
ベスタ 1807年
上記は比較的大きく
早期に発見されたために
神話に登場する神々の名前が
付けられました。
発見から占星術で使用されるまで
1世紀以上待つことになります。
女性性とのつながり
小惑星はチャートの中の
10天体だけでは
得られなかった奥行きや
補完的な微調整を
供給してくれるものです。
小惑星が注目され
使用されるに至った
1970年代は
女性解放運動が象徴される
社会的背景を持っていました。
それまで女性を表す惑星として
月と金星だけであったのが
女神の名前を持つ小惑星によって
女性性の役割に関して
より豊かで深い認識や
新しい視野が取り入れられました。
天文学の一説によると
火星と木星の間に漂う
無数の小惑星たちは
かつて一つの惑星であり
巨大な木星の質量に
引っ張られて打ち砕かれたと
考えられました。
占星術家たちは
打ち砕かれた惑星は
元型的な女性性の全系統
もしくは女性性の
重要な部分を表しており
その浮遊するかけらは
再統合を求める女性性の
多様な断片を構成すると
考えました。
ケレス Ceres
ケレス(またはセレス)
惑星の名前 ケレス
ローマでの神名 ケレス
ギリシャでの神名 デメテル
ギリシャ神話デメテルは大地母神
農業の女神であるケレスは
自己価値の認識や他者の受容
自他への教育者を表します。
神話でデメテルは娘コレが
地下世界の王ハデスに
誘拐されたことにより
「喪失」の経験をします。
育成、出産、豊穣を表す一方で
子供への執着や束縛、過保護という
意味合いも持っています。
パラス Pallas
惑星の名前 パラス
ローマでの神名 ミネルヴァ
ギリシャでの神名 アテナ
戦士の女王であり知恵の女神でもある
パラス=アテナは創意に富んだ知恵や
独創的な認識の潜在力を表します。
神話でパラスはゼウス(木星)の
頭(知性)から鎧をまとって
誕生したことにより
上記のような象意を持ちます。
水星も同じく知性を表しますが
深い掘り下げの意味ではなく
軽やかな水平的な情報収集です。
対してパラスの知性は
深い内的な思慮で
理知的ではなく実用的な
叡智を表しています。
戦士の女王という意味も
虐殺者ではなく
戦略家であり理論家です。
ジュノー Juno
惑星の名前 ジュノー
ローマでの神名 ユノ
ギリシャでの神名 ヘラ
神の配偶者であり結婚の女神
「恋愛」ではない「結婚」がテーマ
権力、国家、お見合いという意味での
社会的承認を得るための結婚
また結婚だけではなく
1対1の対等な力関係、
リレーションシップを作る
能力を表します。
献身的で平等な関係の
受容力がある一方で
不平等や権力争い
独占欲という意味も持ちます。
ヴェスタ Vesta
惑星の名前 ヴェスタ
ローマでの神名 ウェスタ
ギリシャでの神名 ヘスティア
炎の女司祭、純潔な処女の女神
神聖な炎の守護神であり
ここでの火は「精神」を表します。
ヴェスタは私たち自身の
魂や精神に対する理解を
深めることについて語ります。
処女性は性的抑圧を感じさせますが
これは時代の変遷と共に
宗教的な弾圧を受けた結果
一面的な見方とされました。
ヴェスタ神殿に仕えた巫女集団
「ヴェスタの乙女たち」は
儀式の中で男性と性的な交わりを持った
「聖なる娼婦」でした。
このような歴史を考えると
ヴェスタには性に対する
神聖視と罪悪感という
相反する意識が内包されており
「性」と「聖」を再統合を
促す天体として考えられます。