目次
エリスの発見
観測技術の進歩により
1990年代から
海王星以遠で様々な天体が
発見されはじめ、
同時に冥王星を含めて
「惑星」の定義について
検討が始まりました。
このような状況下で、
冥王星は海王星以遠にある
多くの似たような天体の
ひとつなのではないかと
考えられるようになります。
2005年に新天体として
発見されたエリスは
(当時は仮称:2003UB313)
その論争をさらに大きくしました。
議論の結果、2006年には
小惑星ケレス、冥王星、エリスが
「準惑星」として定義されます。
(2008年にはマケマケ、ハウメアが追加)
そしてその論争が終わった後の
2006年9月、ギリシャ神話の
不和と争いの女神である
「エリス」と命名されました。
公転周期は560年。
1920年代から2040年代まで
牡羊座に滞在します。
太陽系の惑星の公転軌道が
ほぼ円なのに対し
エリスの軌道は
かなり細長い楕円です。
また衛星が1個発見されていて
エリスの娘で不法の女神の
「ディスノミア」と命名されました。
冥王星との関連
天文学上は「準惑星」になった
冥王星ですが、占星術の世界では
変わることなくその地位は
今も揺るぎないものです。
そうであるならば天文学的に
大きな影響を与えたエリスのことも
その他の惑星と同じように扱い
リーディングに取り入れるのが
望ましいかと思います。
ただ、エリスが占星術において
どのような意味を持つのかは
発見から日が浅いこともあり
海外でも盛んに議論されることは
多くはありません。
ほとんどがその名前「エリス」の
神話からのインスピレーションに
基づいているものになっています。
エリスの神話
ホメロスの叙事詩『イリアス』では
軍神アレス(火星)の妹とされ
ヘシオドスの『神統記』によると
エリスは夜の女神ニュクスの娘で
黒い翼でを持ち、戦場に現れると
考えられていました。
神話はその土地に根付く一方
伝播していき、新しい文化に
吸収されて変化していきます。
エリスは他の文化圏の
翼を持つ女神たちと
共通点を持っています。
・シュメール神話のイナンナ
愛と贈り物、戦争を司る翼のある女神
・エジプトのハゲワシの女神ネクベト
ファラオのウラエウスの神々の一人
・ケルトの女神モリガン
獰猛な軍用鳥であるカラスの姿になる
・ケルトの女神ブランウェン
白いカラスの姿になる
・北欧の女神フレイヤ
鷹の羽のマントを着て空を飛ぶ、もしくは鷹の姿
・ギリシャ神話のハーピー
人間の顔をした鳥の姿をした女性の怪物、ある神話では突然の鋭い突風の精霊
エリスが一番有名なのは
「パリスの審判」でしょう。
テティスとペーレウスの結婚を祝う
宴席には全ての神が招かれたが
不和の女神エリスだけは
招待されませんでした。エリスは怒り、宴席に
「最も美しい女神へ」と記した
黄金の林檎を宴の場に投げ入れました。この林檎について
ヘラ、アテナ、アフロディーテの
3女神が権利を主張します。ゼウスは仲裁するために
イリオス王プリアモスの息子で
羊飼いをしているパリスに
判定させることにします。この時、女神たちは様々な
賄賂による約束をして
パリスを買収しようとします。
ヘラは「権力」を
アテナは「勝利」を
アフロディーテは「最も美しい女」を。パリスはアフロディーテの
「最も美しい女」を選び
そのヘレネーを手に入れるため
トロイア戦争の原因となりました。この事から「不和の林檎」という
言葉は、論争の要点や
小さな出来事が大事になることを
表す言葉となりました。
牡羊座のエリス
エリスが牡羊座に入ったのは
「狂乱の20年代」と呼ばれる
1926年のことでした。
その時に誕生した女性たちは
行動、発言、服装、振る舞いなど
社会の基準に逆らうことで
物議を醸し不和を引き起こしました。
1920年に選挙権を獲得して
政治的な力を得た彼女たちは
家庭内の殻を破り
これまでの女性像を覆しました。
短いスカート、パンツを履き始め
ドラマティックなメイクをし
髪を短く切りました。
酒を飲み、タバコを吸い
クラブで踊り始めたのです。
出生図におけるエリス
1926年以降に生まれた人であれば
エリスを牡羊座に持ちます。
このためサインの影響は
個人よりも社会全体、
その時代を生きる集団へ反映し
出生図における個人的な解釈は
エリスのアスペクトと
入室するハウスが重要となります。
<エリスの出し方>
- Astrodienstにアクセス
- 「出生データによる、さらなるチャート選択」から
- 一番下の「その他のオブジェクト」より
エリス(Eris)を選択 - クリックしてチャートを表示
チャートにErisが英語で表記されます。
エリスのキーフレーズ
魂のために戦う
危機の克服
存在するために手段を選ばない
伝統から自分を解放する
最後まで戦う
現状を揺るがす
行動力と選択力の発揮
正しい怒り
生き残りをかけた不和の継続